← 柾目
← 当店では窓の四方の枠材に用いました。
桜の木を思い出してください。
広葉樹は大抵そうなのですが、まっすぐに伸びた木は殆どありません。
桜もそうです。
ですから、建築用材では桜の長尺物は貴重です。
当店の窓枠で一番長い物は4m10pの材を使いました。
← 下部の窓框には耳材を用いていますので、桜材の感触がお分かりになると思います。
↓
← 山桜の樹皮
桜の皮は工芸品などによく使われています。
採取の方法は、山桜の表皮に竹で作ったヘラで縦に筋を入れておきます。
すると数日で皮が剥けているそうです。
但し、採取ができる期間は1年で数日だそうです。
とにかく、私達の生活の実に様々なところで活躍してきた木です。
材そのものが高価なこと、堅いために加工しにくく、工賃も高くなることから、建築においても無垢材ではめったに使われなくなりました。
桜は花だけではなく、材としても日本人と関係の深い木なのです。
桜 (山桜) 【Wild Cherry tree】
学名 【Prunus jamasakura】
この学名からもお判りの通り、桜は日本とは切っても切れない木です。
なんと言ったって日本の国花として親しまれる木ですよね。
パラ科サクラ属 サクラ 落葉高木
桜は昔より「花は美、材は良」と言われてきました。
「桜のように散りたい」と、一時に綺麗な花を咲かせ、潔く散る桜に武士道の気質が合って日本では昔より潔い人生を桜に例えてきました。
桜は亜種も含めると、じつにたくさんの種類がある木で、北から南まで、各地に生息しています。
野生の代表的なものは山桜でしょう。
また、有名な染井吉野は江戸時代末期に、江戸駒込の染井村の植木商から広まったもので、大島桜と江戸彼岸桜をかけあわせた人工的な雑種です。
材は他の広葉樹と比較して重厚な部類に属しますが、その重さの割には実に素直で狂いのない良材です。
木肌も実になめらかで、色合いも美しく、建築では皮付き床柱、鴨居や敷居によく使われていました。
山桜の材質は粘りがあり脆くなく、切削加工が容易で表面が奇麗に仕上がる性質があり、それを活かし版画の台木に使われました。
江戸時代の浮世絵や書籍の印刷用の版木は殆ど山桜です。
機器類では測量器械や写真機の三脚、蛇腹の付いた組立暗箱写真機枠等の精密機械、塩田器具に使われてもいました。
楽器では木管楽器、薩摩琵琶の胴、ピアノ、オルガンの外装、バイオリンの弓、琴柱、三味線の棹などに今でも使われています。
靴の木型、算盤玉、漆器の木地、サラダボール、ブラシの柄、額縁、三角定規の様な道具類にも良く使われています。
家具材では桜材製の洋服ダンス等は世界の高級品のレッテルをつけられて珍重されています。
桜の樹皮は、樺皮細工と言う秋田角館の工芸品が有名です。
山桜や丁字桜の樹皮を丁寧に剥ぎ加工したものです。
下の写真の様な非常に綺麗な模様が出ます。
長年月にも退色しない優れ物もので、小抽斗、きざみ煙草入れ、弁当箱などの日常用具等がこれで作られていました。